講師紹介
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講師略歴
1975年 愛知県蒲郡市生まれ一歳の時に父が急逝したため、母の郷里である福岡県北九州市に一家で転居する
以後、京都大学に入学するまで、同地にて育つ
早くからトーマス・マンやボードレール等の海外文学に親しみ、十七歳の時に最初の小説を書く
(未発表)、以後、断続的に習作を重ねる
1994年 京都大学法学部入学
1998年 文芸誌『新潮』に初めて投稿した小説『日蝕』が、同誌8月号に巻頭一挙掲載され、話題を呼ぶ
ヨーロッパ中世の異端審問の世界を、該博な知識と華麗な漢文的文体とを駆使して鮮やかに描き
出したその早熟な才能は、「三島由紀夫の再来」として注目を集める
1999年 史上最年少タイ(当時)の23歳で『日蝕』が第120回芥川賞受賞
大学在学中での受賞は、石原慎太郎氏、大江健三郎氏、村上龍氏に続く四人目
同年 京都大学法学部を卒業
以後、旺盛な創作活動を続け、常に注目を集めている
明治三十年の奈良県十津川村を舞台に、耽美的な幻想に彩られた恋愛譚『一月物語(いちげつものがたり)』
(1999年)
二月革命前後の十九世紀パリを舞台に、音楽家のショパン、画家のドラクロワといった実在の二人の芸術家を
主人公に据え、綿密な歴史考証に基づく豊かな文学的想像力によって、近代ヨーロッパの精神史を2500枚に
わたって描き出した大河小説『葬送』(2002年)
現代の京都を舞台に、若い男女の「性」の問題を、繊細な心理主義的方法で追究した表題作を含む、4作から
なる実験的な短篇集『高瀬川』(2003年)
前作の方法を更に押し進め、戦争、家族、死、近代化、テクノロジーといった現代社会の多様なテーマを9つの
短篇によって描き出した『滴り落ちる時計たちの波紋』(2004年)
死、記憶、言葉、エロティシズムといった一貫した主題群を、作品ごとに、まったく異なる手法で表現すること
でも知られる
その作品は、現在、フランス、韓国、台湾、ロシア、スウェーデン等、翻訳を通じて、広く海外にも紹介されて
いる(一部、翻訳作業中)
2004年 文化庁の「文化交流使」として一年間、パリに滞在
ヨーロッパ各地で精力的な講演活動を行う(現在は、東京都在住)
2007年 2008年の第21回から三島由紀夫賞の選考委員に、最年少での就任が決定
写真:八二一氏撮影
講演内容
「ネットは文学の何を変えるのか」かつて映画が登場し、小説がその固有の領域の再考を迫られたように、ネット空間の拡充は、言葉の受信者
が同時に発信者ともなりうる環境の中で、今一度、小説とは何かという根本的な問いを我々に投げかけている。
二十一世紀における小説のあり方について、考えてみたい。
主要著書
『日蝕』新潮社、1998年(2002年・新潮文庫) ※韓国語・フランス語・台湾語訳『一月物語』新潮社、1999年(2002年・新潮文庫) ※韓国語・フランス語訳(スウェーデン語版、台湾語版が
現在翻訳中)
『葬送 第一部』新潮社、2002年(2005年・新潮文庫 上下巻)※韓国語訳
『葬送 第二部』新潮社、2002年(2005年・新潮文庫 上下巻)※韓国語訳
『文明の憂鬱』新潮社、2002年(2006年・新潮文庫)
『高瀬川』講談社、2003年(2006年・講談社文庫)※英語・韓国語訳
『滴り落ちる時計たちの波紋』文藝春秋、2004年(2007年・文春文庫)
『Talkin’ジャズ×文学』(小川隆夫との共著)、平凡社、2005年
『Public space』エクスナレッジ、2005年
『顔のない裸体たち』新潮社、2006年 ※(韓国語版、台湾語版が翻訳作業中)
『本の読み方-スロー・リーディングの実践』PHP研究所(PHP新書)、2006年
『ウェブ人間論』(梅田望夫との共著)、新潮社(新潮新書)、2006年
『あなたが、いなかった、あなた』新潮社、2007年
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