講演日 2014/11/18 (火)

中室 牧子
なかむろ まきこ

慶應義塾大学総合政策学部 准教授


講師略歴
1975年奈良県生まれ。
1998年慶應義塾大学環境情報学部卒業後、Columbia University, School of International
and Public Affairsで修士課程を修了(2005年、MPA)、Columbia University, Graduate School
of Arts and Scienceで博士課程を修了(2010年、Ph.D.)。
日本銀行では、調査統計局や金融市場局において、実体経済や国際金融の調査・分析に
携わった経験をもつほか、世界銀行では、欧州・中央アジア局において、労働市場や教育
についての経済分析を担当した。
東北大学での勤務を経て、2013年4月から現職。

講演内容
「なぜ教育に科学的根拠が必要か」

なぜ教育にデータに基づく科学的根拠が必要か―これが本講演を通して、私が皆さんと議論
したいことです。

子育て中の友人がよくこんなことを言っているのを聞きます。
「ゲーム機ってもたせないほうがいいんだろうか。専門家によって言ってることが違うし。持た
せて勉強しなくなっちゃっても困るし、持たせなくて学校で友達と話ができなくていじめられて
も困る」
わたしには子供がいませんが、私には子育て中のお父さん・お母さんたちに決してわからな
いことがわかる時があります。例えば私は上記の問題について、このように答えます。
「ゲームを取り上げても、お子さんは勉強するようにならないから、持たせてもいいでしょう。
1日1時間程度のゲームであれば、発達や社会性や健康にはほとんど影響がないけれど、
1時間を超えて、ゲームをすると時間とともに悪い影響が強くなるから気を付けて。」
なぜ、子どものいない私にこんなことがわかるのか。
それは私が、代表性のある大規模データを用いて、子どもの行動や親の関わり方などを分析
することができるからです。

私の専門は教育経済学といいます。経済学って、株とか財政赤字とか、国際貿易とかを研究
している人たちなのではないの?と思われるかもしれません。でも最近の経済学が対象とす
るのは経済的な事象だけではありません。教育は経済学者たちの興味を惹きつけてやまない
研究テーマの一つです。
私が今研究者として一番関心があるのは、どういう教育投資の投資対効果が高いのか、とい
うことです。このことは子育て中のご家庭だけでなく、政策にとって非常に重要な視座を含み
ます。
教育経済学の世界へようこそ!


■ この講演にご関心をお持ちの方へ ― 日本の教育問題を斬る ―
  ・10/2(木) 藤原 和博氏 「正解のない問いに向き合う力」

主要著書
・  Takenaka, A., Ishida, K., & Nakamuro, M. Negative Assimilation: How Immigrants
  Experience the Mobility in Japan. International Migration Review, In Press.
・  Nakamuro, M., Inui, T., Senoh, W., & Hiromatsu, T. Are Television and Video Games
  Really Harmful for Kids? Contemporary Economic Policy, In Press.
・  Nakamuro, M., Uzuki, Y., & Inui, T. (2013). The Effects of Birth Weight: Does Fetal
  Origin Really Matter for Long-run Outcomes? Economics Letters, 121(1), 53-58.

推薦サイト
http://edueco.sfc.keio.ac.jp/  中室牧子研究室